【イベントレポート】コロナ禍における事業ピボットの7つのプロセス|株式会社EDEYANS代表取締役 片山裕之氏

2020.09.24

コロナショックによる大幅な業績悪化をうけながらも、『清掃』から『除菌』への事業ピボットを見事に成功させ、業績回復を遂げた株式会社EDEYANS(イーデヤンス)。代表取締役の片山 裕之さんによるセミナーが、先日ZOOM配信にて行われました。

「市場が変化した時に、既存事業でどう対応すべきか知りたい」「実際にピボットした経験を学びたい」「新たなビジネスに挑戦したい」など、コロナ禍での事業ピボットをお考え方は、ぜひご一読ください。

 

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片山 裕之さん(左)と 工藤 柊さん(右) 

 

片山 裕之さんはTHE LINKS 創業当時からの会員です。今や事業所もお持ちですが、継続してTHE LINKS を使ってくれています。

 

片山氏の起業ストーリー

近畿大学在学中、学生起業家に出会い感銘を受けたことが、自身が起業を目指すきっかけとなった。その後スピーディーに起業スキルを学ぶ手段として「起業家の方の生活に入り込もう」と考えた片山さんは、すぐに大学を休学してベトナムに飛び、日本人社長の鞄持ちとして一年間寝食を共にする。

インバウンド領域での事業を模索し「日本の清掃品質は世界に誇るべきであり、もっと世界に発信するべき」という想いから事業計画を進める中、「清掃の現場は未だレガシーで非効率な部分が多々あり、ここにテクノロジーを取り入れれば、イノベーションを起こし、業界を発展させることができる」と確信する。

帰国後の2018年、ベトナムで出会った同年代の大学生と共に、新規事業にチャレンジ。しかしマーケティングなどを進める中で今の事業では成長が見込めないと判断。

ピボットし近畿大学在学中に民泊清掃事業をスタート。同年6月に株式会社EDEYANSを創業し、民泊を皮切りにホテルやオフィスなどの清掃を受託。

2019年、清掃管理クラウドシステムヤンクリをリリースし、清掃領域のBtoBプラットフォームの構築に邁進中。

社名のEDEYANS(イーデヤンス)は、3Kと呼ばれる清掃業界のイメージを少しでもポジティブに変えることが出来たらという想いから、「社名は面白おかしく付けよう」というアイデアで考えられた。

 

コロナショックによる影響

Virus1創業後は右肩上がりで業績が上がり、東京オリンピック、大阪万博も控える中、自社が伸びていく事を確信していた。

そんな中でのコロナショック。インバウンド需要の激減により、12月に4,322件あった清掃が、3月には331件に。

売上も8割減少となったが『清掃』から『除菌』へ事業ピボットすることで、4月からV字回復を遂げる。

 

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事業ピボットの7つのプロセス

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「今振り返るとこのようなプロセスを踏んでいたんだなと感じますが、当時は全く考えられておらず、ただただパニックでした。」という片山さん。

「どうにか状況を打破しなければならない」と冷静に考え出すきっかけとなったのは、片山さんを含めスタートアップ経営者らが所属されている秀吉会の創業者でもある、中央電力株式会社の中村 誠司会長の助言だったそう。その後は他の先輩経営者の方にも相談したり、共にアイデアを模索し、『清掃』から『除菌』への事業ピボットによる回復に辿り着いた。

実際に実行されたプロセスは以下である。

 

【①自己分析】:自社のリソースや強み・弱みを分析

「横浜で停泊中のクルーズ船について、中村会長が『清掃しに行ったらどうや』と仰ったんです。

冗談半分かもしれませんが、たしかに除菌って良いかも…と思い、翌日から本格的に考えだしました。」大阪・東京・京都・福岡という4都市に清掃スタッフがいて、ホテル、民泊等の既存の顧客に除菌のリソースを当てはめることができると考えた片山さん。

しかし当然コロナへの感染リスクもあるため、社員に「最前線に行って」とは、すぐには言えなかったそう。

 

【②アイデア出し】:事業アイデアを考え発散
【③事業仕分け】:自己分析を元にアイデアを仕分け

3月末、株式会社フリープラスの創業者である須田 健太郎社長がファシリテーターをされ、定期的に行っている会議(今起こっている問題を参加者達で深掘りし解決していこうという社内会議)の中で、EDEYANSの、ある社員から「除菌をやりましょう」という発言があった。

「売上が落ち続けている中、もうそれをするしかないでしょう。」という意見をもらい、「リスクはあるけれど、一緒に戦ってくれるならやろう。」という決断に至る。

 

【④事業計画】:計画を立て実現可能か見極め

除菌は行っていなかったので、まずアウトソースでプロに教えてもらいながら、どのくらいのコストと準備が必要なのかという部分を社員みんなで詰めていった。

結果「最小リソースでスタートできそうなイメージが湧いた事と、需要の割に除菌を行う業者が多くなかった事で、既存の顧客(ホテル・民泊等)が僕らを求めてくれた。」

 

【⑤市場調査】:社会情勢や競合サービスを分析

4月6日に『除菌サービス開始』のプレスリリースを配信。

Facebookで記事をシェアし、先輩や同世代の経営者の方に拡散してもらうなどのテストマーケティングを行ったところ、かなりのニーズがあると分かり、防護服など備品の大量注文に進む。

 

【⑥既存企業との親和性】:取引先・仲間の納得度

とにかく早く売上を立たせないといけない、PLの崩れを少しでも防がないといけないという状況だったため、そういう意味でも既存顧客との親和性は重要だった。

「ですがこれも今振り返ると…という話しで、当時分かっていたわけではないです(笑)」

 

【⑦事業構築】:LP作成、営業活動、広報PR

自社ホームページに除菌サービスの専用ページを作成。

競合の除菌サービス内容を毎日調べ、一番安価で、一番早くサービスを提供できるようにした。除菌ノウハウは、元々除菌サービスをされていた会社の下請けに入り学んだ。

その後、大阪府のコロナウイルス軽症者を受入れているホテルの除菌業務を、協力会社と一緒に引き受けた。

大阪府管轄の自衛隊員が派遣される研修を社員に受けてもらい、最前線のリアルなノウハウを学べたことで「自衛隊員から学んでいる」と謳えるようになったことも強みになったとのことだ。

 

スピードしかない。

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EDEYANSは、ここまでの7つのプロセスを、なんと3月30日~4月13日までの2週間で実行。

「スタートアップだったり僕らのような小さな会社が大手企業に勝つには、スピードしかない。

これは今回に限らず、とにかく早く。失敗しても早くやる。という気持ちで常に取り組んでいます。

例えば、除菌の問合せがあったら当日でも行く。夕方にあったら夜中でも行くくらいの(笑)」除菌サービスは他社も絶対に参入するので、それくらいしか選ばれる理由がないという思いから、どこにも負けないスピード感を徹底した。

Q&A

ここからは、イベント中にいただいた質問(Q)に対する片山さんのご回答(A)をご紹介します。

 

Q.
どの時点で事業ピボットしようと思いついたのですか?

A.
2月半ばです。それまで(助言をいただくまで)は正直2~3ヵ月で収まると思っていたので、一旦PLを保ちながらこのままやり過ごそうというスタンスでした。

 

Q.
事業ピボットをする際に、一番気を付けたことは?

A.
既存事業とのバランスですね。既存事業を辞めるわけではないし、除菌サービスは流行り廃りがあるので、どのくらい投資をするのか、どこまでリソースを取るのか。「既存の事業に戻れるようにしておく」ことは考えていましたし、今もそのバランスは考え続けています。

 

Q.
事業ピボットによって起こりやすい問題は?

A.
問題だらけですが、ピボットによって業務が激変する。今まで営業をしていた社員、マーケティング担当だった社員が現場で除菌にあたったり。その辺りの問題は必ず起こると思います。
ただ僕らの場合はまだ創業期で、みんながベンチャーマインドで一緒に戦ってくれたので、本来起こるであろう内部的な問題が起きなかったことは本当にありがたかったです。
他にももしかしたら色々な問題があったのかもしれませんが、当時は余裕もなく見られていませんでした(笑)

 

Q.
さらにこの先の事業展開も見据えていますか?

A.
今後、除菌は清掃の一つに入ってくると思っています。「清掃の新しい概念を創ります」というコンセプトを打ち出していき、例えば今まで水拭きしていたところは次亜塩素酸ナトリウムを使うなど、スタンダードの清掃に除菌を加えていく。
そういったことに既に取り組んでいます。今までの目に見える部分の清掃だけではなく、目に見えない菌やウイルスを取り除くことまでが清掃なんだということを、自分達が先行して進めていきます。

 

Q.
事業ピボットにおいて、除菌以外で注目している業種はありますか?

A.
ホテル需要は絶対に戻ってくるので、ホテルでの、清掃以外の業種のサポートは狙っています。「顧客を変えずに価値を提供し続ける」ということを意識しています。

 

Q.
今の段階での売上は、除菌によってどのくらい回復されたのですか?

A.
単月黒字が出せるくらいには回復しました。とにかく目の前のことを改善しないとマズいという状況だったのが、将来を見据えながら経営ができるくらいにはなりましたね。

 

Q.
従業員の方やご自分のマインドセットはどうされていますか?

A.
「このタイミングでこの経験が出来て良かった」というような向き合い方をすると、割と冷静に考えられるし、成長できる。あとは先輩とも社員ともたくさん話す。それが大きいですね。
また、もしかしたらこの先、こんなに世の中のためになる仕事はないんじゃないか。自分も社員も、そのような思いもあり頑張れたんだと思います。

 

片山さんから、最後に一言お願いします。

「コロナが落ち着いてインバウンドが戻ってきたり、除菌の需要が下がった時にはまた従来の清掃サービスに戻れる、という部分も大きいですし、除菌サービスによって新たなお客様が増えたので、今回の事業ピボットは本当に資産化したなと感じています。

また今回のセミナーを記事にしていただく中で、同世代の方にぜひお伝えしたいことは、『知見や経験のある先輩経営者の方々と仲良くすること』これが本当に大切です(笑)

こういった回復方法も、自分で考えても絶対に分からない。本などで色々な情報を得られる時代ではありますが、経験をされている先輩経営者の方から学ぶのが一番早いですし、一番活きると思います。自分もそういう存在にならなければいけないと思っています。」

 

まとめ

いかがでしたか。事業ピボットのプロセスをお伺いする中で、片山さんの色々な想いにも触れる事ができ、社員や先輩経営者の方々に愛される理由も感じられたと思います。「顧客を変えずに価値を提供し続ける」という今後の事業展開も、とても楽しみですね。

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